五年前の自分では想像もしなかったことが、今現実に起こっています。
それは、珈琲屋をはじめたこと。
難聴ゆえにコピーライターで独立し、父方の実家が神社の宮司だからと神職の講習会に通い、とても珈琲屋をはじめるような環境にいたわけではありません。
思い描いていた建物やしつらえ、自家焙煎にオリジナルブレンド、珈琲に合う甘いものがあったわけでもありません。
珈琲豆を日常的に購入するようになり、自分の好みが深煎りであることを知り、国内でも国外でも持ち歩くグローブトロッターに入れている手挽きのミルでガリガリとやってネルドリップかペーパードリップで珈琲を淹れるようになったのはここ数年の話。
自分で焙煎しようとは思いませんし、オリジナルのブレンドをつくろうとも思いません。
趣味が高じて珈琲カップを陶器や磁器でつくろうと思いません。
しかし、自分が好む珈琲を飲んでいるうちに、神社の隣で誰かに飲んでもらいたいとふと思いました。
そのきっかけは多分、神社隣にある東洋町が管理する借家が空いたこと。そして移住者向けのその借家を神奈川から引っ越してきたから借りることができたこと。
最初は社務所にしようと思っていました。しかし町の担当者にそのことを伝えると、政教分離の関係で社務所利用はできませんと言われます。
それは仕方がないな、でも本当に神社の隣にある借家だから、神社を開けて町の皆さんにとって安らぐ場とするためにも、その家を借りることにしました。
担当者に聞くと、社務所利用はダメですが、商業利用は大丈夫ですよと。
それで、だったら珈琲屋さんをはじめよう、と思ったのです。
私見ではあるけれど、僕は神社と珈琲屋には共通する何かがあると思っています。
それは何かというと、自分の奥深くを感じ、心身の奥深くを整えること。自分の奥深くに眠っている魂を感じ、行動の活力が湧いてくるところ。
そんな場所になればと思い、僕が美味しいと感じて味わい続けている珈琲や料理、甘味の焙煎士、料理人、和菓子職人にお願いし、献立を考えてもらおうと考えました。
だから、この珈琲屋で愉しむことができるものは、僕が考えたものではありません。僕が「この人なら」と感じた人がつくってくれたブレンドやレシピです。
神主が淹れる珈琲と、神社のそばだからこそ召し上がっていただきたいと考えた精進カレー、そして母に頼んで焼いてもらっている米粉を使ったベイクドチーズケーキや浮島という和菓子を愉しんでくだされば、幸いです。
そうそう。よろしければInstagramも覗いてみてください。季節ごとの精進カレーや甘いもの、また水だし珈琲情報など、更新しますので。
カンヌシ珈琲と精進カレー