お店でお出しする珈琲について。
2021年、令和3年から通い続けている『蕪木』という珈琲屋さんがあります。
東京の蔵前にあるこのお店を知ったのは、金工作家の中村友美さんがつくるやかんがきっかけ。
店主の蕪木祐介さんが、中村さんにつくってもらった小皿や珈琲受けを使い、大阪のippo plusというギャラリーで珈琲とチョコレートのイベントをするということで、また蕪木さんのつくるチョコレートにも興味があり、イベントの下見に蔵前を訪れました。
JR総武線の浅草橋駅で降りると、『蕪木』に辿り着くまでに鳥越神社があり、またお店の目の前には小さな社があります。
そこで参拝し、お店に入る。それが『蕪木』訪問の際の、定番儀式になりました。
はじめて『蕪木』でいただいた珈琲は、その味わいの美しさとともに、しつらえの美しさに心を掴まれました。
ネルドリップでポタポタ淹れる間、時間にして2分か3分程度になるのでしょうが、蕪木さんはドリップに心を尽くします。
その間、来客があっても目を向けることも声をかけることもしないため、はじめて訪れた人にとっては愛想が良くないと思うかもしれません。
しかし珈琲を淹れ終わると、声をかけなかったことをお詫びし、笑顔で席へと案内します。
ある意味、お客さんを選ぶ珈琲屋さんなのですが、蕪木さんの心象風景がしつらえと所作、味わいに現れているようで、静かに興奮したことを覚えています。
蕪木さんのおかげで行動範囲は岩手の盛岡にまで拡がり、BOOKNERDさんという本屋さんに置かれていた『遠野キュイジーヌ』を介して、遠野で無農薬無施肥の自然栽培で育てたお米を100%使ったお酒をつくる佐々木要太郎さんと出会いました。
また福岡の博多にある吉冨寿しさんにも「しつらえが好みだと思います」と蕪木さんに言われ、通うようになりました。
出会ってからついこの間までは、まさか自分が珈琲屋をはじめるなんて考えてもいませんでしたが、珈琲を出すなら蕪木さんの珈琲をお願いしたいと思い、補聴器の修理のために神戸へ向かう途中、淡路島のサービスエリアで蕪木さんに電話しました。
東洋町に引っ越した今でも取り寄せている蕪木さんの「羚羊」というブレンドをお店でも使わせてもらうことになり、また機会を見つけてオリジナルのブレンドもつくりましょう、となりました。
東洋町に来た際は、ぜひ甲浦八幡宮で参拝した後に、珈琲を召し上がってください。深みのある静謐な味わいは、神社隣で飲むにピッタリだと思いますので。
また蔵前に行かれた際は、『蕪木』に訪れてほしいと思います。